Island 2

ウェディングをキーに業界を検証するメモ

ウェディング会場の効果的な運営のためのシステムの要件(2)

中の人のメモです。


ウェディングの事業で役に立つシステムとは(2)
 


前回、ウェディングで役立つシステムの目的を

  1. ウェディングオペレーションを効率化するシステム
  2. ウェディング売上拡大のアクションへのスムーズな援用が可能なシステム

とし、「1」について書いたので「2」から。

 


 
「ウェディング売上拡大のアクションへのスムーズな援用が可能なシステム」とは


 ウェディングの売上は基本的に「来館数」×「成約率」×「組単価」なので、これをきちんと把握して向上させるアクションをとれるようにする、というのが基本的な考え方。ブレイクしていくと、来館経路毎来館数、来館キャンセル状況、成約種類、各部門単価、季節変動あたりがさらに具体的なアクションのために必要になってくる。

ちょっとしたノウハウの話でいくと、成約率といっても2種類ある。フローかストックか。書くと長くなるけど、それぞれ、

  • (ストックの成約率)=(いつ来館したかにかかわらずn月に成約した数)/(n月来館数)
  • (フローの成約率)=(n月来館数の内、現時点で成約に至った数)/(n月来館数)

という式になる。

 

ストックの成約率は顧客情報が紙に散在していた時代にウェディング業界で広く普及したカウントの仕方で、こうなった理由は単にデータを追い切れなかったから。ただ、ホテルを中心に未だにかなりの数の会社で慣行としてつかってる。
異なる母集団を比較しているので、単に数字の特徴だけみても成約率は100%を越えたり(母集団が異なるもの同士の比なので厳密には単位はpt(ポイント)だけど、ここでは業界の慣行に従ってパーセントしておきます)難易度が高いのだが、職人になってくると季節と合わせて来館成約状況の目安になるらしい。経験て偉大。

 

だが、数字は誰にとっても同じ価値を持つほうが使いやすいし効果が出しやすい。CRMSFA的機能を持つシステムを使うことによってそのお客様が現時点でどのような状態になっているかが追えるようになって、成約率は「あなたの提案にお客様がどれくらい納得して一緒にやりましょうと思ってくれたか」と等価になる。フローの成約率はシステム化の恩恵で実現したともいえる。こっちの数字だと担当者毎成約率とかが意味を持ってきて、成約率の中身をブレイクする価値が出てくる。

 

また、売上を考えるときに、「成約数」×「組単価」 というか「来館数」×「成約率」×「組単価」というかも意味がある。前者は受益型の考え方で、後者は創益型の考え方。結果を管理するときは数字が単純な方がいいが、売上を作るアクションを考えるときは「成約数」というある種の結果をスタートにすると思考が一段後ろに下がる。ウェディングマネージャーに求められるのは「来館数」と「成約率」のそれぞれを把握して増やすアクションで、この2つはある時間軸で交わるけど基本別のオペレーションブロックだという理解が必要。

 

逆に単価アップ率とかは、単価設定に対する付帯要因なので会場の戦略に依ってはそんなに重要じゃなくなったりもする。商品力を鍛え続けて初期見積は高いけど打ち合わせする度に見積内容が上がっていくような提案はほとんどしないことで、セールスマンとしてのプランナーへのストレスを減らして定着率を上げるとともにエリアにおけるブランドと安心感のある会場であるという認知を確立する戦略を採ってる会場とかもある。

 

と、大分長くなったので、次のポストへ 続く。